■ 美味しい珈琲の基礎知識 (1)〔コーヒー豆編〕
◇ コーヒー豆の高速焙煎ビジネス
日本で最近、目立ち始めた生のコーヒー豆を高速焙煎して、その場で挽いて新鮮で美味しいコーヒー豆を提供するビジネスがあります。
世界各地のコーヒー豆の中から自分に合ったコーヒー豆を選んで、煎り具合や粉の挽き具合を、ドリップ方式やお客さんの好みに合わせて指定します。
このサードウエーブコーヒーと言われるビジネスモデルを中国で展開する企画があり、美味しいコーヒーの入れ方の勉強をしています。
今回は「珈琲の楽しみ方BOOK」(監修:田口護 成美堂出版)と「知識ゼロからのコーヒー入門」(著者:河野雅信 幻冬舎)という本を参考にコーヒーの世界の概要をまとめて見ました。
◇ コーヒー豆の種類と産地
①コーヒー豆の3大原種
「アラビカ種」
・ レギュラーコーヒー用で品質・生産量ともにNo.1。全生産量の7~8割を占める。
楕円偏平形で高温、多雨の場所で生産。中南米、アジア、アフリカの高地で生産。(標高1,000m~2,000mの高地で栽培。)
「ロブスタ種」
・ インスタントコーヒー、缶コーヒーなどに用いる。全生産量の2~3割。丸みのある短楕円形で熱帯の低地で生産。アフリカやベトナムの一部で生産。(標高 1,000m以下の低地で栽培。)
「リベリカ種」
・ 病害虫に弱いため、現在はほとんど生産されていない。
②コーヒー豆の産地
・ 「コーヒーベルト」(コーヒーゾーンとも言う)と呼ばれる、南北回帰線(北緯・南緯25度)の熱帯地方で生産。
・ 適地は気温が冷涼(平均気温15℃~25℃)、降雨量は年間平均1,500~2,000mm。標高はアラビカ種が高地。ロブスタ種が熱帯低地。霜が降りず、湿りけのある水はけの良い土地。
・ 主な生産国は「ブラジル」「コロンビア」「ベトナム」「インドネシア」「インド」「メキシコ」「グアテマラ」など
③ 生産国別の人気コーヒー豆銘柄
・ブラジル :「ブルボン」「サントスNo.2」「No.2/18」「マラゴジッペ」
・コロンビア :「メデリン」「スプレモブカラマンガ」「エメラルドマウンテン」
・パナマ :「エスメラルダ ゲイシャ」
・ジャマイカ :「ブルーマウンテンNo.1」
・コスタリカ :「SHB」
・グアテマラ :「アンティグア」「SHB」
・インドネシア:「マンデリン」「スラウェッシ ママサ」
・イエメン :「モカ・マタリ」
・タンザニア :「キリマンジャロ」「キボースノートップ」
・エチオピア :「モカハラーBG」「シダモG2」
・ハワイ :「コナ」
④ コーヒー豆の名前のつけ方
・ コーヒー豆の名前は ①生産国の名前、②、出荷する港の名前、③生産地域の名前を組み 合わせて付けられているようです。
・ コーヒー豆の分類表記(欠点豆混入率とスクリーン)
〔例〕ブラジル・サントス・No.3・スクリーン17・ソフト
① ② ③ ④ ⑤
① (国 名)・・・・生産国、地域を表す。
② (出荷名) ・・・・港の名前など。流通経路がわかる。
③ (欠点豆混入量)・300g中の欠点数で表記。No.2~No.8まで。
④ (豆のサイズ)・・数字が大きいほど大粒。平豆はNo.12~20。
丸豆はNo.8~13に分類。
⑤ (味の格付け)・・カップテストによる格付け。
1.ストリクトリーソフト 2.ソフト 3.ハード 4.リオゾナ
◇ コーヒーの焙煎(ロースト)について
①焙煎には大きく分けて「浅煎り」、「中煎り」、「深煎り」3段階があり、浅煎りでは酸味が強く、深煎りになるほど、苦みが強くなります。
但し、豆の種類や煎りのスピードにより、深煎りしても酸味が効いた味になる場合もあるようです。
②更に細かく、8段階に分けると次のようになります。
「浅煎り」
・ ライト・ロースト
もっとも浅い煎り方で、色は黄色がかった小麦色。飲料には適さず、テスト用。
・ シナモン・ロースト
浅煎りで色はシナモン色。酸味のある良質豆に適したロースト。
「中煎り」
・ ミディアム・ロースト
中煎りで色は栗色。酸味と苦みが生じ、アメリカンコーヒーに適したロースト。
・ ハイ・ロースト
やや深い中煎りで一般的なロースト。色は濃い茶色で、酸味が抑えられ甘味や苦みが強くなる。
・ シティ・ロースト
深い中煎り。酸味と苦みのバランスがよくとれていて、ロースト香が強い。
「深煎り」
・ フルシティ・ロースト
やや深煎りで、酸味はほとんど感じられなくなり、しっかりとしたコクが出てくる。
・ フレンチ・ロースト
深煎りで色は黒っぽくなり、外側に脂肪分が出てくる。カフェ・オ・レやウインナー珈琲向き。
・ イタリアン・ロースト
最も深煎りで色はほとんど黒。苦みが強くなりアイスコーヒー向き。
◇ コーヒーの挽き方について
コーヒー豆の挽き方は5段階あり、ドリップ方式に合わせて選びます。
①粗挽き
・最も粒度が粗く、ザラメ程度の粗さ。(パーコレーター向き)
②中粗挽き
・ザラメとグラニュー糖の中間位の粗さ。(サイフォンやネルドリップ向き)
③中挽き
・グラニュー糖程度の粗さ。(サイフォンやネルドリップ向き)
④中細挽き
・グラニュー糖より、更に細かい粗さ。(ペーパードリップや珈琲メーカー向き)
⑤細挽き
・最も細かい状態。(エスプレッソ向き)
◇ コーヒー豆の賞味期限と保存法
・コーヒー豆は空気に触れると酸化して、味が劣化します。
焙煎した豆の状態より粉の方が、表面積が大きくなるので、酸化が早く進みます。
また、焙煎時に豆の中に閉じ込められた香りが粉にすると、どんどん空中に逃げてしまいます。
従って、挽いた豆は早めに使い切ることが望ましいです。
①コーヒー豆の賞味期限は
缶入り・・18ヶ月 ビン入り・・12ヶ月 透明フィルム・・12ヶ月
開封後は容器に関係なく、1ヶ月。
粉の場合は2週間で飲みきる。”
② 保存方法は密閉容器に入れて、冷蔵庫に保存する。
3週間を超える、長期保存の場合は冷凍庫で保存する。